民主的市民社会は、継続的持続的にその統治の機構である政府とその政策を検証し、改革し、変革する能力を持たなければなりません。 その能力は、究極的に市民による政策形成と評価の能力を意味します。
政策研究とは、この能力の継続的な開発に寄与するもので、既存の学問領域を超えた、21世紀の市民社会のための政治と社会、運動と学問の融合領域です。 UCRCAでは市民にとってわかりやすい政策評価の学習のプログラムを用意する予定です。
日本の政策形成と議論において、欠落しているのは、基本的なデータである。データには政策の決定に必要な、統計、予測、評価、指標が含まれる。近年の米国の社会変革のための政策評価を検討し、ことにコミュニティー開発のための近隣指標システムに着目する。近隣指標システムの開発はUCRCAが今後取り組むにふさわしい、意義あるテーマであると考える。
フランス、パリでのテロ、トルコでのロシア機の誤爆とその後の一連の戦闘、シリアから逃れ出る難民を迎えるヨーロッパの苦悩。ISというテロ集団によって、冷戦後、弱々しくも秩序を民主化への歩みに見いだそうとした世界は、いま、新たな「戦時態勢」に入っている。日本は国家としてどう対応するのか。日本の知的政治的状況は、この問題に限らず、複雑多様化する社会問題に対してまったく不十分である。多くの国家レベルの法制、安全保障から、地方再生のための地域開発にいたるまで、国家の政策の課題と優先性を議論するシステムと産業がない。すなわち、国民の合意形成がないままに、政策が決定されている。あらゆる社会課題において国民議論がますます重要になる中、合意形成のためのシステムが整えられなければならない。数年来、UCRCAは日本にCBOをつくることを主張してきた。これは一つの合意形成のための方途である。今回、統計研究会のサポートを得て、独立財政機関を考える特集が組まれた。全文は
この小論の目的は、社会政策の有効性の確保に取り組むオバマ政権の挑戦と、
政策形成における政策研究と評価の理念と方法をめぐる近年の展開との関係を考察する。
オバマ政権にみる米国の昨今の政策形成の特性は、限られた厳しい財政の中で、
いかに政策を国家の社会問題の解決に有効なものとできるかの追究にある。
政策の強化を目指すこの政権の挑戦は、社会科学的厳密な研究と事実証拠に基づく政策評価を重視するエビデンス中心の「文化」を政府機関組織と組織運営に持ち込み、文化を培おうとするものである。
日本で2001年、制定された「政策評価法」は政策、プログラム等の評価の公表を義務付けたと同時に、行政機関の透明性と負託責任(accountability)を明確にするための、「評価のガバナンス体制の改善」を目指したものであった。
この2つの論文では政策評価のガバナンスという概念を定義し、それに基づいて、「評価のガバナンス」を評価するための、査定基準を作成する。
これをもって日本の評価ガバナンスを査定し、日本の評価ガバナンスの問題を明らかにし、今後の方向性を具体的に示す。
[英文タイトル]
Assessing the Governance of Policy Analysis and Evaluation, Part 1.
本研究は、米国の政策研究評価期間(シンクタンク)で、米国の政策研究の最先端に携わってきた政策アナリストとしての視点から、21世紀の日本社会とそのグローバルな位置づけを展望しつつ、大阪大学大学院工学研究科において取り組む意義のある課題を示し、大阪大学の将来に寄与するアイデアを提示することを意図したものである。
その基本的問題意識は、あらゆる人々の創造性と合理的科学的思考と社会関与の意欲こそが、社会の発展、科学発展の基盤であり、原動力であり、そうした人々が生み出すエネルギーが社会のダイナミズムをつくるという考えから、個別の事象の持つ問題を考えようとするものである。