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復興の過程 3.議員活動報告

議員活動報告

     

気仙沼市議会議員 熊谷雅裕





第10号 平成30年 4月1日    みやこや 熊谷まさひろ 事務所

 平成30年2月定例議会が2月9日から始まり、予定を一日延長して3月7日までの会期で行われました。
議案は20件の追加を含め計90件、報告は4件追加され計8件でしたが、すべて原案通り可決されました。2月定例議会の主な議案は平成29年度の補正予算と平成30年度の予算に関するものです。議会で予算が承認可決されなければ事業が執行できませんので、30年度の事業を決める議会とも言えます。

 私は今議会で4件の議案に反対の立場で討論しましたが、すべて原案通りに可決されました。

また今回も一般質問を通告したのですが、議長裁定で5回目の不許可となりました。



議員・特別職期末手当と、市職員給与増額議案への反対討論

私は第19号議案と第20号議案に反対の立場で討論いたします。
 
第19号議案は気仙沼市議会議員と気仙沼市特別職の報酬等の一部改定の議案ですが、市議会議員と特別職(市長、副市長、教育長)では職務内容、および立場が全く違います。それにもかかわらず同じ議案とすることは筋が通りません。まずは別の議案として上程すべきです。さらに震災後7年が経過しようとしている現在、いまだ多くの問題をかかえ復興途上にある気仙沼市において、生活再建がままならず苦しい生活を強いられている多くの方々がいます。その中にはいまだに仮設住宅で暮らしている方々がいます。昨年12月末で920名もの方々が仮設暮らしです。仮設住宅での生活は2年以内との話でしたが、7年経過しても仮設住宅から出られず、さらに平成32年度まで延長との話があります。つまり震災から10年もの間、仮設住宅で暮らす市民がいるということになります。

そういった状況の中で、市民から負託を受けた議員や市の代表である市長、そして特別職の立場にいる人の期末手当を引き上げることは、市民から許されるものではないと思います。少なくとも仮設住宅で生活する市民がいなくなるまでは、議員及び特別職の手当てを上げるべきではありません。    (この議案に反対した議員は私だけでした)


第20号議案は気仙沼市職員の給与及び手当を上げる議案です。



震災から7年経過しようとしていますが、いまだに仮設住宅に住まいする方々がいます。生活再建がままならず、多くの方々が苦しい生活を強いられています。確かにいくつかの水産加工場が完成稼働し、魚市場も完成間近となりましたが、市内には造成中の土地建物がまだまだあり、いまだに復興途上なのです。

「雇用の安定と労働環境の充実」の課題として「本市においては中小企業・小規模事業者の占める割合が高いこと、平均賃金が低いこと、復興途上にあること」などが挙げられています。気仙沼市の人口減少の要因のひとつに低賃金の労働環境があり、そのような状況の中、公務員の給与だけが上がるということは市民からヒンシュクを買うことだと思います。高給取りは公務員だけの街に若者は戻って来ず、民間の給与向上につとめなければ発展性はなく衰退するだけです。

気仙沼市の総職員数は平成29年度で1958名です。この総人件費は約70億円で、市税収入は約64億円です。気仙沼市は市税で人件費も賄えない自治体なのです。これが民間企業ならとっくに倒産しています。このような財政状況であるなら給与を上げる前に行財政改革を断行し、職員一丸となって市の健全な財政状況を作り上げるのを目指すべきで、いま昇給するときではありません。   
ある自治体では財政を立て直すために首長が減俸したとき、職員も一緒に減俸しました。財政破綻した夕張市のようにならないためにも、今から全職員の意識改革をおこなっていく必要があります。そのはじめとして今回は市職員の給与及び手当を上げるべきではありません。以上、反対討論とします。   (この議案に反対した議員は私だけでした)

気仙沼市は市税で人件費も賄えない自治体なのに給与が上がります。


巨大防潮堤建設に対する反対討論



私は第83号議案と第84号議案に反対の立場で討論します。   

この二つの議案は赤牛漁港と大沢(津谷)漁港の背後につくる防潮堤建設の議案ですが、
どちらも高さ9,8mの巨大防潮堤です。ここは国道45号線が走り海の見えるところです。

巨大防潮堤ができると海が見えなくなり、素晴らしい自然景観が破壊されます。

確かに防護対象として赤牛漁港には人家が一軒、大沢(津谷)漁港には水産加工場が一軒あり、そして国道、市道、農地があります。
しかし工事費用が赤牛漁港で約8億円、大沢漁港では約5億円です。人家一軒と水産加工場一軒を守るために13億円です。


いま三陸道が完成間近で、たとえ大津波がおそっても交通はマヒしません。人家一軒と水産加工場一軒を守るためだけに13億円もかけて巨大防潮堤を造るのは税金の無駄です。それらを守るためだけならもっと違う方法があるはずです。

日門漁港の防潮堤計画はいまストップしています。大谷海岸も砂浜が残り、海が見えるように計画が変更されました。ドライブする車の窓から海が見え、景観を楽しむ道路は観光面でも大事です。

海と生きる気仙沼市が、いたるところで漁場である磯場を破壊し、いたるところで海の見える素晴らしい景観を破壊しています。海と生きる気仙沼市なら未来の子供たちに素晴らしい自然の海と景観を残すべきです。気仙沼市には避難道路は必要ですが、巨大防潮堤は必要ありません。以上反対討論と致します。  (この議案に反対したのは私だけでした)



被災者救済と避難道路建設を後回しにして
巨大防潮堤建設を優先する政策は間違っています。

市議会議員となっての活動記録



 平成26年4月に市議会議員となり、4年が経過しようとしています。

当選早々の6月定例議会で一般質問をして、その報告会を大島において行い、その後に全市民の方にも知っていただきたく、「議員活動報告」を新聞に折り込み出すようになりました。平成27年10月に発行したのが最初で、今回で10回目の報告です。

 

 第1回目の報告は「一般質問において聞きたかったこと、言いたかったこと」と題して発行しました。

「大震災から4年半も経っているのに、公営住宅は14%しか完成していない。行政は被災者救済を後回しにして、巨大防潮堤建設を優先している。被災者救済よりも省庁の権益確保が優先する行政はおかしい」
「巨大防潮堤建設は『海と生きる』気仙沼市が『海を殺す』ことではないのか。無用な巨大防潮堤を造らず自然と調和し『海を生かす』政策に転換すべきではないのか。巨大防潮堤は科学技術の進歩により不要になると思う。そして巨大防潮堤建設工事は本当に住民の合意を得ているのか」
「大島架橋建設が決定しているのに受け入れ態勢が全くない。橋が架かるまでに道路、駐車場、トイレを整備するのが喫緊の課題。特別委員会の行政視察は8回もいっているのに、何もなされていない」等々。



第2号から今回の第10号までの「議員活動報告」を振り返り、主な報告と主張を述べます。

「ポートランド視察への補正予算に反対する」 「巨大防潮堤工事は沿岸漁業に悪影響を及ぼしていないか」 「気仙沼市議会における委員会と会派について」 「辞職勧告と一般質問について」 「政治倫理審査会と辞職勧告について」 「年4回の定例議会についての説明」 「行政視察についての現状報告」 「気仙沼市第2次総合計画について」 「議員定数削減を提案します」 「大島架橋工事の遅れについて」等々。



 平成26年4月に「巨大防潮堤建設反対」「みどりの真珠を守りたい」をスローガンに掲げ、多くの支持をいただき、市議会議員に当選させていただきました。

その後いろいろとありましたが、気仙沼市の将来を考え、意見を述べてきました。

市民の皆さんのお役に立つべく行動して来たつもりですが、至らないところも多々あったと思います。市議会での私の意見や議会の様子をつたない文章でつづり、お知らせしてきましたが、多くの市民の方々から応援をいただき、議員活動を続けることができました。
私はこの4月の市議会議員選挙に立候補します。この「議員活動報告」を今後も出し続けたいと思っています。お読みいただいた方々に感謝いたします。

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更新日: 2018/04/12 -12:13 PM