UCRCAのモンゴルとの関わりについては、モンゴルプロジェクトを開いていただきたい。また、モンゴルに関与する過程については、拙稿「モンゴル研修旅行を終えるにあたって、Mongolia Study/Training Tour 2006-2012」、「上野真城子関西学院大学総合政策学部最終講義」にも触れているので、参照願いたい。
UCRCA は関学での上野ゼミによる研修旅行を<卒業>し、2012年からは社会人専門家も含めてモンゴル研修旅行を行った。2014年には訪蒙都市環境医療研修団を、さらに2016年は、ユニークな人材、専門家を得て、研修旅行を実施した(文末参照)。
民主党政権下の4年間において厳しい経済状況が出来たことが、今回、国民の怒りを生み、民主党を大敗させたのは明らかだ。選挙によって、政権を変えることが出来たという点で、モンゴルの民主主義が機能したという点で、着実に市民社会は発展してきた。しかし、新政権、人民党政権が緊急に取り組まなければならない課題は容易ではなく、解決のビジョンと方法は、かつてない困難さを持っている。市民社会はこれに立ち向かうリーダーシップは育っていない。当面、増加し続ける国際債務とその差し迫った返済にどう対応するか、国の安定しない法規制によって失われた外国からの信頼の低下と投資の減少をどう食い止められるか、鉱業以外の産業を育てられない中で、鉱業依存経済からの脱却の道は可能か、鉱山資源の価格の低下による国家財政の危機にどう対応するか、ますます増加する中国経済への依存を弱めることが可能か等、これらの、複雑にからみあった経済と財政の要因を政治の現実の中で解き明かしていかなければならない。これはいわば民主化市場化における最大の危機を迎えていると言ってよいだろう。
5月に世界銀行はモンゴルに対して、収入不足と増加する支出によって、国家財政が急激な負債のスパイラル状増加を呼び、継続する弱い鉱物資源の価格では、鉱物輸出はほとんど猶予をもたらすことはないと警告した。国は財政のコントロールを強化し、財政の安定のために、財政収支を分別ある限度内にとどめることを進言している。
特に今年、2016年の1月から3月の間で、モンゴルの負債は$306million に達したが、それは昨年度同時期の$72millionの4倍となる。これは年間GDPの2.6%に相当するが、年間の負債目標はGDP の4%である。一方財政支出は同時期24.4% の増加となっている。これは政府負債の利払いの増加、公共物資の購入、社会福祉支出、収入回集徴税低下によるものである。
さらに世銀は2016年末までに財政債務はGDP の18%に達すると予測している。その点から、世銀は新政権が、財政危機を明らかにし、財政と収支バランスの危機を示しつつ強固な財政政策と金融政策の調整を求めている。
何十年もの貧困と停滞した開発ののちに、1990年以降、モンゴルは高品質の膨大な、石炭、銅と金等の鉱物資源の蓄積を発見し、これらの発掘採鉱によって膨大な経済ブームを呼んだ。当時、OECDはこれによって2020年までに、この国の経済は3倍となり、百万人もの人々を、グローバルなミドルクラスにするだろうと予測した。 しかし、経済は2000年、2008年と、鉱物資源の価格の暴落によって厳しい打撃を受けた。2015年度にはこの採掘権料を73%減少させ、企業税の収入減を昨年度より半減させた。鉱業依存経済の不安定性は明らかである。 すべての財政収入は、鉱物価格が近々に明瞭に改善されるということがない限り、年間予算額にはるかい追いつかない。いまのままの支出増加は負債を封じ込めることを極めて難しくするだろう。世銀はさらに鉱物の輸出の減少と巨大な公共負債の返済は、2917年における財政収支の均衡をさらに難しくする。財政コントルールとマクロ経済の運営マネージメントが極めて重要である。それと同時に、支出を引き締め、収入をあげるための方法は不可欠だが、しかしモンゴルの貧困層の苦境を和らげる方策は考慮されなければならない。モンゴルの社会福祉の所得移転配分における寛容なシステムは、しかし、もし貧困事業が目標ターゲットを明瞭にし、的確に資金が与えられ、的確に拡大されるならば、より貧困層を助けることが出来るはずであると指摘している。
モンゴルの民主化と市場化は、いずれも半分は成功し、半分は道途上である。オユン氏は2012年に次のように語ってくれた。それは2016年においても、同様に意味を持つだろう。「モンゴルの民主制度はいまだ十分に強固にはなっていない。全体として資源富裕国になったとき、政治家はナショナリストとなり、左右のイデオロギーが大衆ポピュリズムをはびこらせる。大国の間で小国の位置をどうとるかは、大きなチャレンジである。鉱山は「解決」ではない。国民がよりよく教育され、より知識を持ち、オープンな社会を作ること、若い世代が、外で学び、国に貢献することが何より大切である。若い世代に期待する。」
2016年秋の研修旅行において、まさに私たちはこの国の若者への期待を強くした。UCRCAは今後、様々な分野において、モンゴルの若者の成長を助ける活動を展開したいと考えている。
氏名 Name | 所属等 Title | |
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1 | Ms. Kimiko Shimasue | Executive Manager, Uegahara Hospital, Chief Nurse 上ヶ原病院看護部長 |
2 | Ms. Gyoko Taniyama | Executive Director,Takarazuka Hospital 宝塚病院参与、元看護部長 |
3 | Ms. Ayako Okutsu | Professor, Kansai Nursing/Medical University 関西看護医療大学 |
4 | Ms. Yukiko Saikawa | Lecturer, Kansai Nursing/Medical University 関西看護医療大学 |
5 | Ms. Hitomi Shimasue | Nurse, Takarazuka City Hospital 看護師 私立宝塚病院 |
6 | Ms. Rika Wataya | Osaka Medical Training School 大阪行岡医療専門学校, 臨床検査師 |
L.P | Ms. Pagva Boyanjargal (Local Partner) | National Nursing University, Assistant Professor, Nursing/Medical University |
氏名 Name | 所属等 Title | |
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7 | Dr. Makiko Ueno |
Director, Urban Community Research Center for Asia アジア都市コミュニティー研究センターUCRCA Community Building After Disaster in Tohoku コミュニティー・ビルディング、被災後の街づくり |
8 | Dr. Mayumi Oyama, 雄山眞弓, 比嘉 | Emeritus, Kwansei Gakuin University 関西学院大学名誉教授 President, Chaos Technical Research Laboratory カオテク研究所 Inventor of “YURAGI” measuring device, 「ゆらぎ」測定機器の発明、測定、普及 |
9 | Dr. Junko Kobayashi 小林純子 | Dr. of Engineering, Architect, President, Design Office: Gondola、 建築家、有限会社設計事務所ゴンドラ代表 Award Winner, Designing Public Restroom エイボン特別賞など。200を超えるトイレ・デザインの向上に尽くした功績。 |
10 | Mr. Koichiro Ichimura 市村浩一郎 | Former House of Representative 元衆議院議員 Lecturer, Kyushu University 九州大学講師 元関西淡路復興財団代表 Developing wind power generators, ecological energy research 風力発電開発、エコ・エネルギー |
11 | Mr. Daisuke Akutsu 阿久津大輔 |
Executive Director, Enclave Japan, Co. Limited Recruitment, job-match for foreigners, immigrants to Japanese job market 人材養成、移民事業促進 |
12 | Mr. Badruun Gardi (Local Partner) | Founder, Ger-hab Mongolia (NPO) Betterment of Ger community in Ulaanbaatar Ger housing improvement |
Other | Team Shiba Service (Local Partner) |
President, Shiba Service, Co. Limited
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更新日: 2016/10/14 -05:27 PM