椿だより8 萩かなえ
東日本大震災から12年が経ちました。
復興には10年かかると言われていましたが、12年が過ぎてもまだまた空き地も多く、そしてひとの心の復興はどこまで進んだのか…と思います。
それでも皆逞しく前に、未来に向かって進んでいる。元気に走って家に向かう、下校中の小学生たちを見ていてそんな気持ちになりました。
気仙沼大島には中学校と小学校がありました。今は小学校だけが残っていて、中学校は昨年廃校になりました。橋を渡った隣の地域の中学校に統合され、島の生徒達はスクールバスで通っています。
私の母校でもあるので廃校は淋しいものがありました。しかしクラスメイトが数人しかいない事も問題です。たくさんのクラスメイトがいて一緒に勉強や活動が出来る統合の方が、前に進む選択なのかも知れません。
校歌や校章は統合先の中学校のものが継承されました。そのため、閉校式では在校生が最後の校歌斉唱をしました。
大島中学校の校歌は、作詞が大島出身の歌人である水上不二(みずかみふじ)さん。
作曲は芥川也寸志(あくたがわやすし)さん、芥川龍之介の三男です。
子供心にも素晴らしい歌詞であり曲だと思っていました。一番の歌詞だけですがご紹介します。
波におどる太陽
かもめは雲と羽ばたく
太平洋 朝をよぶ風 この空
みどりの亀山 松の歴史
創造ひとえに われら学ばん
大島中学 理想ははるけし
歌い出しがすがすがしく、希望を感じる歌詞でした。太平洋に向かって浮かぶ大島の解放感を感じる歌詞だと思います。とても好きな校歌でした。廃校になって校歌も歌われなくなってしまいましたが、校庭に歌碑が建てられました。
これからはどこの地域でも学校の統廃合が進み、廃校が増えると思います。
大島小学校の今年の新入生は3人とか…、私達の入学の時は95人いましたから、大変な少子化です。
感傷的になる事も多くなりますが、それでも未来に向かって希望を持ち続け、笑顔で生きていく事、そんな姿を子供たちに見てもらいたい、伝えていきたい、それが大人の役割だとあらためて思います。
廃校になった大島中学校の施設は、これから利活用のための改築や整備がされていく予定です。
1階には公民館を移転させ、2階にはICT拠点となるシェアオフィス等を気仙沼市が計画しています。
校舎の3階は見晴らしが良く太平洋が望めます。NHKの朝ドラ「おかえりモネ」のロケ地にもなった校舎です。観光振興にも活かせるかも知れません。
住民や観光で訪れる方やシェアオフィスに入居される方、皆が集う場所になれば、新しい大島が生まれる拠点になっていくことと思います。
亀山からの眺望
編集者: .(このメールアドレスを表示するにはJavascriptを有効にしてください)
更新日: 2023/08/02 -04:19 PM