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Publication Series 2020 IFI Studies

Hiroshi Ueno 上野 宏
著者紹介

Publication Series 2020 IFI Studies 上野 宏
IFI の設立を推進するための提言:イントロダクション
UCRCAは、独立財政機関(Independent Fiscal Institution, 以後IFI)研究を蓄積しており、その一部をIFI seriesとしてこのセクションで紹介しています。この最新版Publication2020は、「IFI設立を推進する会(仮称)」による2020年7月15日のIFI設置提言(以下のPDF3文書)を紹介します。この推進する会(仮称)には、UCRCAの上野真城子と上野宏が参加しています。ただし、以下のPDF3文書での提言主体は「IFI勉強会」となっております。理由は、IFI勉強会が2020年9月11日に、名前を「IFI設立を推進する会(仮称)」へ変更したためです。
以下のIFI設立提言PDF3文書の、背景と提言理由を理解していただくために、(1)IFIとは何か、(2)なぜ日本にIFI設立が必要か、(3)IFIの主な機能と目的、を簡単に説明します。
(1) 独立財政機関(IFI)とは何か。OECD(2014)は、IFIを「公的資金により運用され、行政府又は立法府の法的権限に基づき設置され、非党派の立場から財政政策及び財政運営についての監視及び分析、あるいは助言を行うための独立機関」であると定義しています。我々IFIの設立を推進する会(仮称)は、日本の現状になるべく合うように、OECD定義を少し狭めて、またより具体的にして、IFIを以下のように定義しています:(ア)国会(立法府)での議員立法により法的に設置され;(イ)独立した(政党・党派や政府とは完全に独立し、影響を受けない)組織であり;(ウ)日本国の公的負債の巨大化と財政破綻を回避し、公的財政の持続可能性を達成することを主な目的として;(エ)財政政策・毎年の国家予算案・予算案が含む主な個別政策の予算案などを、監視・将来推計・分析・評価などを行う組織(機関)であり;(オ)国会に付置され、国会の行政監視機能と予算審議機能を強化するための組織、がIFIです。
(2) なぜ日本にIFI設立が必要か。必要な理由は大きく二つに分かれます:(ア)日本の財政そのものの問題と、(イ)この財政問題への対応・対処の仕方が抱える問題、です。以下に説明します。
(ア) 財政そのものの問題。これは、以下のような問題です。①我が国の公的債務は先進諸国で最大(IMFによれば2020年度末には国内総生産の250%)であり、今後も増加傾向にあり、財政破綻が危惧されます。②海外の機関投資家による日本国債への投機が増えた場合(徐々に増えてきています)、ギリシャのように日本国債価格が暴落し、財政が破綻するリスクがあります。③財政破綻しなくとも、巨額の公的債務は将来世代が返済せねばならず、現世代と将来世代の世代間不公平が増大します。④補正予算が年度当初の財政赤字の隠れ蓑になっており、補正予算の妥当性を分析・評価する必要があります。⑤客観的分析・国民的議論のないまま、ほとんど思い付きのような個別政策が乱発され、財政支出に歯止めがかからなくなっています。特にコロナ対策としての個別政策では、全く客観的分析がなされておりません。
(イ) 財政問題への対応・対処の仕方が抱える問題。これは、以下のような問題です。①行政府からの財政情報は、楽観的バイアス、非合理、不透明、情報不足、説明不足、複雑で、一般市民には理解が非常に難しい状態です。②他方で、国民は、政府の財政赤字対策の先送り・不作為に関して無認識・無関心で放任しており、政府に対する国民の監視とプレッシャーにより赤字政策を変更する、という民主主義制度の基本が機能しておりません。③政治主導の政策決定プロセスだけでは、有権者に痛みを求める改革は敬遠され、選挙において票がとりやすい財政拡大だけが、今まで進行してきました。政策決定プロセスの中に、有権者に痛みを伴うものでも、政治とは独立に客観的に分析し、有権者と政治家へ提示できるようなプロセスを導入する必要があります。④政府(内閣)の権力が強大化する一方で、国会が弱体化しており、政府の予算案・政策案を国会がチェックする機能が弱まっています。国会の財政・予算案のチェック機能を強化する必要があります。⑤以上のような問題は、日本だけではなく、ほとんどの先進国共通の問題となっています。この問題へ対処するために、多くの先進国ではすでにIFIが設置されています。OECDはIFI設立を推薦していますし、EUにいたっては、IFI設立を、法律で加盟国へ強制しております。日本はIFI設置が遅れております。というよりも、IFI必要性への認識が進んでおりません。
(3) IFIの主な機能と目的。主な機能は、政府(または財務省)が毎年国会へ提出する毎年度予算案を、国会が審議する前に、独立に(政府、政治家、行政等から無関係に)分析し、1・5・15・50・75年後に公的債務がどのようになるかを客観的に推計し、公的債務が持続可能かどうかを客観的に評価し、その結果の全てを国会議員全員と国民一般へ知らせることです。これにより、今まで常に楽観的であった政府の将来財政予測を、楽観的バイアスの無い客観的予測に基づいて、国会議員と国民一般が、正確に財政判断をすることを促す事を目的としています。次に、日本の財政政策や個別政策が、単なる思い付きではなく、客観的なデータに基づき審議・決定されることを目的としています。更に、今まで政府・行政に対してその力が減衰し続けてきた国会(国家の最高意思決定機関)を、IFIによって強化し、権力バランスを回復し、三権分立に基づく民主主義体制を確立することへの一助とすることが大きな目的です。
(4) 提言。日本のこのような問題を解決するために、IFIが必要です。民主主義制度のインフラとして、IFIを、日本の国会の直属機関として設置すべきだと我々推進する会(仮称)は考え、IFI設置提言書を作成しました。皆様、以下にリンクされております提言書(PDF3文書)を是非お読みいただき、支援(いいね、シェア、リツイート、提案の拡散など)をお願い申し上げます。提言3文書は長い文書もありますので、先ずはPPT文書(3 pages)、次に簡略説明文書(4 pages)、最後に(提言)本体文書(26 pages)の順にお読みただければ楽なのではないかと思います。
(5) 実現への流れ。支援・支持の輪を広げていただくことにより、国会議員に動いていただき、日本全体の問題ですので超党派議員連盟による議員立法により、IFIを設立したいものと考えております。ご支援よろしくお願い申し上げます。
2020年9月28日。上野宏、IFI設立を推進する会(仮称)副座長。

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更新日: 2020/08/26 -05:05 PM