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2018年、アメリカの中間選挙と女性


米国市民権を持つものとして、11月に行われた中間選挙には強い関心を持たざるを得ないものだった。なぜならトランプ政権の誕生はアメリカ社会を分断化し右傾化させ、それは世界にとっても非常に危険なことといえるからである。アメリカの最も枢軸をなす、デモクラシーの理念が崩されようとしているのを危惧しトランプをいかに阻止できるかは、デモクラシーの前進を確信するものとして、放置できない。選挙前には、ワシントンDCに状況を見てきた。 

米国市民権を持つものとして、11月に行われた中間選挙には強い関心を持たざるを得ないものだった。なぜならトランプ政権の誕生はアメリカ社会を分断化し右傾化させ、それは世界にとっても非常に危険なことといえるからである。アメリカの最も枢軸をなす、デモクラシーの理念が崩されようとしているのを危惧しトランプをいかに阻止できるかは、デモクラシーの前進を確信するものとして、放置できない。選挙前には、ワシントンDCに状況を見てきた。 

丁度10月、カバノー(Brett Kavanaugh)の最高裁判事承認に疑義を申し立てるフォード博士(Dr. Ford)のセクシャルハラスメントの証言が論議を醸していた。出てきた地名などは馴染み深いものであったこともあり、この背景となる時代とコミュニティーはよくわかるものだった。米国社会は、人種差別、女性差別、白人優位の価値観を持っている。これらは、国の成り立ちからアメリカ「文化」の根底をなしているといえる。デモクラシーの理念をもってしても容易に変えられものではない。特に、トランプ大統領という稀有な、稚拙な人間がリーダーシップをとり、社会の分断化を図るとき、様々な差別的思考は、臆面なく復活してきた。政権成立以降、トランプを支持する若者が、赤いTシャツと帽子をそろえてワシントンを闊歩するようになってきていることは不穏な光景である。人種差別的嫌悪による犯罪は年間17%の増加を示しているといわれる。


この中間選挙の結果、下院は女性議員が117名、5人に1人が女性議員となった。黒人、アメリカン・インディアン、モスレム、同性愛者など多彩多様な背景を持つ女性が当選した。私の尊敬する元住宅都市開発庁長官、77才のDonna Shalalaも初当選している。これは、トランプの女性蔑視への反発と、郊外の主婦層と若者が投票したことが要因と思われる。私は選挙期間中、立候補者からのメールによる献金要請に悲鳴を上げたが、100名をこえる当選女性議員の顔写真一覧は感動的だった。

私は長く女性が政治に関わり政策を変えることが不可欠であると考えてきた。私は2,30年の政策研究に従事する中で、この政策形成産業にリーダーシップをとる女性たちの名を心に刻んだ。Isabel Sawhill, Alice Rivlin, Donna Shalala. いずれも、政府での高官をつとめ、かつ民間企業で働き、大学で教えるなど多様な経験を持ち、シンクタンクや、アカデミズムで政策研究の先端を切り開いている。元健康ヒューマンサービス省長官であったドナ・シャララ(Dona Shalala)は、77才で、今回選挙に初めて出馬し当選した。今、最も尊敬される最高裁判事であるルース・ギンズバーグ(Ruth Bader Ginsburg)は85才だが、デモクラシーの後退を危惧し、トランプ政権下でさらなる右派判事に席を譲らないために、当分退職することはないと表明した。

この中間選挙には民主党、共和党ともに嘗てない数の女性が立候補し当選した。これは、アメリカのデモクラシーの重要な柱、三つの柱、行政権、司法権、立法権の分立と独立の確保、そのチェックエンドバランスに、女性が平等に関わることができるという将来が見えてきているということである。アメリカ社会のあらゆる場で、女性が関わり、声を上げることが必須であるとする意識が遅ればせとはいえ、高まっていると見ることができる。

極右と独裁化の進む社会(世界)において、イデオロギーを超えて、「生きる、命を守る」ことを本質的に考える女性たちが、ひとびとと語り、それを政策とし、政策をつくり開拓し、憲法を守って、デモクラシーの危機を乗り越えていくのは、アメリカの女性たちであると思う。

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更新日: 2018/11/19 -10:10 AM