島からの便り・復興九年
熊谷志緒
アーチ橋を直々に春陽渡り来る
春の月のやわらに照れり夏まじか。
初鰹友に送りて安らげり
鰹漁のレコード嬉し漁師まち
夏の地蔵心願深くおろがめり
夏の海コロナに負けぬ島の海
夜を通し星の輝く初夏の空
公営住宅の狭庭にポツリ葱坊主
彼岸磯に摘みしと岩海苔とどけらる。
島に橋の架かりて亀の山笑ふ
(島の語り部 九四歳)
小山 由紀子
台地よりひと掻きの息吹き感じつつ
朝日清しき田畑耕す
日割れせし田になおも日は照り続く
自然の中に我は小さし
土を割り天を目指すや竹の子は
脇目もふらず上へ上へと
機械へと吸われし玄米白妙の
お米に換わり出でて来るなり
(農業)
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更新日: 2020/08/11 -01:07 PM