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「封城」(ロックダウン)下の武漢の暮らし  ー方方女史の『武漢日記』抄訳 田畑光永(ジャーナリスト)

はじめに

新型コロナ肺炎はいまだに世界中で猖獗をきわめているが、発症の地となった中国の武漢市は1月23日から2ケ月半にも及んだ封鎖―中国語では「封城」―が4月8日に解けて、1100万市民の生活はようやくもとに戻りつつあると伝えられる。この封城は外に向かっては、飛行機は発着せず、列車も停まらず、長距離バスも運行停止、隣省との境界には検問所が設けられ、高速道路のインターチェンジも閉鎖という徹底ぶりであった。

新型コロナ肺炎はいまだに世界中で猖獗をきわめているが、発症の地となった中国の武漢市は1月23日から2ケ月半にも及んだ封鎖―中国語では「封城」―が4月8日に解けて、1100万市民の生活はようやくもとに戻りつつあると伝えられる。この封城は外に向かっては、飛行機は発着せず、列車も停まらず、長距離バスも運行停止、隣省との境界には検問所が設けられ、高速道路のインターチェンジも閉鎖という徹底ぶりであった。

そればかりではなく、市民にもきびしい外出禁止が課せられ、自由に買い物にも出られない中で、人々は文字通り息をひそめるようにして、毎日をやり過ごしていた。その実情については、わずかに3月10日、習近平国家主席が同市を訪れ、住宅団地を視察に回った際に、主席へのお付きの説明を聞きとがめた住民たちが「そんなのは全部嘘だ!」と、口々にベランダから声を上げたというニュースが伝えられたことがあったが、それ以外、外部からはほとんど知ることはできなかった。

しかし、その封城の中の生活を冷静に日々記録していた作家がいた。方方という女性作家による『武漢日記』がその作品である。もっとも状況が状況であるから、出版されたわけではなく、インターネットで執筆と同時進行で広く読まれた。少ない日で5万人、多い日は15万人もの目に触れていた。すでに英訳、独訳の出版が決まっていると伝えられる。

作者について簡単に紹介しておくと、本名は汪方、1955年南京生まれで武漢育ち、1978年武漢大学入学、卒業後は湖北テレビ局での仕事を経て現在は作家。湖北作家協会前主席、中国作家協会全国委員。

なお付け加えておかなければならないのは、この作品は現在、中国国内で大きな論議の的となっていることである。ご想像がつくと思うが、この作品がありのままを書いていることが中国にとってマイナスだと考える人々が、権力に近いところにいるからである。

さすがに『人民日報』など「権威」あるメディアにはまだ見られないようであるが、その系列の『環球時報』などには、「中国の顔に泥を塗りたいのか」といった批判が見られる。それも外国語訳が出版されるとなってから激しくなったように感じられる。

私も何とかこの作品を読みたいものと思ったが、なかなか遭遇することができなかった。しかし、中国の検索サイト「百度」で2月6日の1日分を見つけ、また本ブログの執筆者の1人、阿部治平氏のご努力で3月8日から24日までを入手することができた。

私もまだ入手した分全部を読んではいないのだが、早いほうがいいので、読んだ分から抄訳の形で、とりあえずご紹介する。果たして「中国の顔に泥を塗る」ものなのか、「泥とはなんだ」ということを頭の片隅に置いて読んでいただきたいと思う。(200415)

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更新日: 2020/06/03 -08:07 PM