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2016年を送るにあたって。

2016年は政治・社会の世界において、欧米のヒューマニズムの歴史とデモクラシーというシステムに極めて大きな疑義が示された年といえるでしょう。
EUへの難民移民の急増がヒューマニズムへの疑義を醸成し、EUでは反移民の極右政党が勢力を伸ばし、英国ではEU離脱の決定がなされました。そして、トランプ氏の当選は、デモクラシーが衆愚政治に陥り機能しなくなったのではないかという疑念を、醸成しています。
これらの歴史の後退の背後にあるのは、客観的事実と理性・論理によって議論を行い、政治・政策決定をするという、市民社会の基本原理が揺らいでいるという社会状況だと思います。

オックスフォード辞書社は2016年の時代の言葉を「Post-Truth:真実以後」とすると発表しました。 すなわち、近代西欧社会・市民社会の理念は、真実・事実(truth)を希求し論理・理性によって説得し相手の合意を得て・政治政策決定を行うというものであったのですが、2016年に多くの国々において政治・公共政策の選択で起こった状況はむしろ「真実以後、Post-Truth」という言葉で代表される、というわけです。
真実以後とは、人々が客観的事実(truth)に従ってその社会的主張・意見を決めるのではなく、感情(emotionや個人的な信条(private belief)によって社会的主張・意見決める社会的状況のことである、とオックスフォード辞書は定義しています。
即ち、世界の2016年という現在は、論理や知ではなく、個人の日常から生まれる、特に生活の質の低下に脅かされることから来る、憤懣や怒りというエモーションや、個人的信条(例えば、モスレムは犯罪者であるとか、外国人は排斥する)によって人々は社会的主張(移民の受け入れ、大統領の選出)を決めているということです。

そして、民主主義の進歩に貢献すると思えた情報革命の寵児、Facebook とTwitterが、ネットを通してその怒りをウソとデマゴーグにつなぎ拡散させる事態が起こり、デモクラシーは、さらなる挑戦を受けることになりました。このように歴史が逆行する時代に、今我々・多くの国々・世界が向き合っています。 客観的事実と論理を無視し、無知とデマ〈不正〉の跋扈する、真実を軽視する社会を作らないために、UCRCAは少しでも誠実な努力を重ねるつもりです。

代表 上野

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更新日: 2016/12/10 -02:05 AM