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モンゴル・プロジェクト

モンゴル研修報告書 2008 Study Tour, Mongolia

関西学院大学総合政策学部上野研究室  2008 年度研究演習 (School of Policy Studies, Kwansei Gakuin University)

上野研究室は2006 年に初めてモンゴル研修旅行を行い、その後2007、2008 年と3回の研修旅行を実施して来ました。この報告書は3年目の報告です。

はじめに――研究演習担当教授からのメッセージ―


ゲル地区

 上野研究室は2006年に初めてモンゴル研修旅行を行い、その後2007、2008年と3回の研修旅行を実施して来ました。 この報告書は3年目の研修報告です。報告書のまとめにあたって、今一度、なぜ海外研修を行うのか、なぜそれが途上国で、 なぜモンゴルなのか、そこで何をしたいのか、するのか、昨年に続いて、再度、私の思いを簡単に述べておきます。 というのも、毎年ゼミは新しい3回生を迎えて、伝統(?)になりつつあるモンゴル研修旅行の参加者は異なるからです。 繰り返しになりますが、許してもらいましょう。この旅行は、私、上野個人の、長い人生の経験と、志と、時と、 人とのつながりとの、めぐり合わせの結果です。(これについて詳しくは「再びモンゴルへ」 http://www.org/views/06fall/ueno_mongolia06.htmlを読んで下さい。)

 私は大学卒業後四十年、横道や回り道をしつつ、そのときそのときどう生きるか生きたいか、 何が自分に出来るのか、何を自分に課すのかを考えてきました。関学に来た2005年以前の20年ほどは、 主に米国ワシントンのシンクタンクで「政策研究」に従事したのですが、厳しい米国での研究生活を続けられたのは、 そのなかで、「市民社会」「デモクラシー」「政策」といった、人生をかけて希求する価値のある課題と出遭えたからです。 (もちろん人生に希求すべきはこうしたものだけではありません、自由も愛も幸福もあります。)

 その過程で、私が得た確信は、日本の青年、学生は、出来るならば大学卒業までに、一度でも外の社会を見、学んでくる必要があるということです。 日本以外の国、外の世界を知ることによって、よさも悪さも、強さも弱さも含めて、私たち自身、日本自身を知ることができます。 そして私たちにとって価値あるものと、他の国や人々にとって価値あるものは違うということ、異なる価値があり、そして異なっていいこと、 違いの中から違いを超えて互いに得るものがあり、新たなよりよき価値の形成ができるということが、外に出ることによってわかるようになるからです。 21世紀を生き、造るあなたたちは、日本の社会の発展と変革に関る意思を持ち、世界に開かれた眼と心を持たなければなりません。 そうでなければ、日本自体も、あなたたちひとりひとりも生き抜いていかれなくなります。

 見ること、学ぶこと、考えること、経験することは、限りなく、何から始め、どこから始めるか、 若いあなたたちには無限の可能性と選択の幅があります。ひとつのアプローチは、途上国を知ること、 [知覚]し、実感し、そこから日本を考える、見直すこと、そして世界へ、地球へ、地球市民として考え、 何が出来るか、何がなされねばならないのかを考えることです。私が久しぶりに日本に戻り、関学に来て、 優れた潜在力を持つ学生の教育に当たることになって、これは途上国研修をゼミで取り組もうと思った理由はここにあります。

 なぜそれではモンゴルか、なのですが、実は1996年から1999年までの丸4年間、私の夫は世界銀行を離れ、 JICA派遣のモンゴル国財務省顧問としてウランバートルに赴任しました。その間私は娘とワシントンで働き暮らしていたので、 毎年娘を連れてワシントンからウランバートルへ地球半周の旅を繰り返しました。それがモンゴルを知り、 そして素晴らしい友人を得るきっかけとなったのです。人生は面白いもので、2006年にその絆、 「人と時と志(思い)」が編みなおされて繋がって、私はゼミの学生諸君をモンゴルに連れて行くことになったのです。

 モンゴル経済は中央アジア移行国のなかでは優等生でマクロ経済的には成功モデルといわれます。 この成功には日本の支援も含めた世界の支援がよく機能した成果と考えていいでしょう。しかしその一方で、 資源に頼る国特有の問題を引き起こして来ました。なかでも、社会的問題、格差と都市問題、公害と住宅問題、 環境問題はますます深刻さを増しています。またさらに政治的にも民主化のプロセスのひずみが見られます。

 ゼミの研修旅行が、こうしたモンゴルにとって、どのような意味を持つか、プラスになるのか、無益かは、 まだ初めて間もなく、ミクロのことでもあり、はかりかねることです。しかし少なくとも私たちはモンゴルの現在を知り、 その抱える問題を知ることから、振り返って日本のこと、そして私たちの出来ることを考えてみるという、 貴重な機会を得ることが出来ます。

 1年目でおおまかなモンゴルの状況、ウランバートルの状況を把握しました。そしてことに都市政策関連ゼミとして、途上国の都市住宅問題が喫緊の取り組むべき問題であることを認識したのが2006年度の成果でした。

 この問題解決のためにミクロで有効なことが何かを探ってみようと思ったのが2007年の研修活動と調査の焦点でした。 援助に関わるさまざまな機関と責任者の方々からの講義を受けました。都市問題と住宅問題の基本を都市居住の原点、 :コミュニティーに置くことが非常に重要であることを、開発理論からでなく、踏査を通じて見えてきました。

 2008年度には、この報告書に見るように、日本のJICAによる都市マスタープラン研究を知り、 その中でことにモンゴル科学技術大学のPurev-Erdeen先生のゲル地区改良の提案と活動に出会い、 これへの貢献を考えた調査を行いました。これは今後のすべての援助及び社会改革のカギとなる、 コミュニティー・ビルディング、それも住民による、住民のための、住民の計画と参加という理念の具体的実践 になるものと考えられるからです。学生諸君の調査と論考はコミュニティーの人々にとって十分に役立つものになってはいませんが、 徐々にモンゴルの人々とのつながりを積み重ね、積み上げ、関学の掲げる地球市民としての歩みの確かな踏み台となるものと確信します。

 この研修にご協力いただいた、講義講師の方々、資料提供くださった方々、 私たちの学びの旅を支えてくれた通訳から運転手さんまで、心から感謝いたします。

上野 真城子

1. 研修日程

8月31日(日)

  • 13:40 関西国際空港発
  • 15:40 仁川空港着
  • 20:05 仁川空港発
  • 23:40 ウランバートルチンギスハーン空港着
  • その後バスにてホテルへ
  •  

9月1日(月)

  • 10:30 スフバートル広場着
  • 11:45 昼食
  • 13:00 ザイサン・トルゴイ見学
  • 14:30 ガンダン寺見学
  • 17:00 夕食(高岡氏と一緒に)

9月2日(火)

  • 10:00 モンゴル・ジャパンセンター着
  • 10: 15 工藤氏、高橋氏の講演
  • 13:00 昼食
  • 14:00 今後の予定ミーティング
  • 15:30 ゲル地区見学(ウヌール地区 ダンバダルジャ地区)

9月3日(水)

  • 10:00 モンゴル・ジャパンセンター着
  • 10:15 エンクトゥーヤ氏の講演
  • 14:15 プレブ氏の講演
  • 16:00 スカイデパートにて買い物 その後自由行動

9月4日(木)

  • 9:20 ホテル発
  • 10:00 モンゴル・ジャパンセンター着
  • 10:10 ホロ長の講演
  • 14:00 ゲル地区調査
  • 16:00 自由行動

9月5日(金)

  • 9:20 ホテル発
  • 13:00 スフバートル広場で高岡氏と合流
  • 15:00 高岡氏のプログラムに参加
  • 17:00 ホロ集会(北村、松本、長田参加)
  • 18:00 ホテル着

9月6日(土)

  • 9:00 ホテル発
  • 11:00 遊牧民のゲル着 その後、遊牧民の生活を見学
  • 16:30 ゲル発
  • 18:30 ホテル着 その後自由行動

9月7日(日)

  • 9:30 ホテル発
  • 10:00 ゲル調査
  • 15:00 ゲル地区発
  • 16:00 自由行動

9月8日(月)

  • 9:30 ホテル発
  • 10:00 ゲル調査
  • 16:30 ホテル着 その後自由行動

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更新日: 2010/11/17 -07:27 PM