上野研究室は2006年に初めてモンゴル研修旅行を行い、その後2007、2008年、2009年2010年と、5年にわたり研修を重ねてきました。2010年はこれまでの蓄積の上に立って、大きな飛躍をしました。それはこれまでの学びと研修から、私たちの出来る働きかけ、小さくもひとつの行動を起こして、持続性につながる「機構」をつくり出したことにあります。
上野研究室は2006年に初めてモンゴル研修旅行を行い、その後2007、2008年、2009年2010年と、5年にわたり研修を重ねてきました。2010年はこれまでの蓄積の上に立って、大きな飛躍をしました。それはこれまでの学びと研修から、私たちの出来る働きかけ、小さくもひとつの行動を起こして、持続性につながる「機構」をつくり出したことにあります。この報告書と合わせて、2010年11月に関学三田キャンパスで行ったモンゴリア・ウィークの報告書、また遡って各年度の報告書を読んでください。
繰り返しになりますが、確認しておきたいことですが、私のゼミ生への基本的な教育の信念は、生涯学び考え、行動する人間、関学のモットーである「地球市民」になってほしいことにあります。それを中長期の達成目標・アウトカムとして研修旅行を行っています。 私は大学卒業後四十余年、横道や回り道をしつつ、そのときそのときどう生きるか生きたいか、何が自分に出来るのか、何を自分に課すのか、学び続け、考え続けてきました。
関学に来た2005年以前の20年ほどは、主に米国ワシントンのシンクタンクで「政策研究」に従事しました。厳しい米国での研究生活のなかで、私は「市民社会」「デモクラシー」「政策」といった、人生をかけて希求する価値のある課題と出遭いました。今、私がこの年齢をもって、大学教育の場で出来ること、果たせる責任の一つは、若いあなた方が、人生に追求すべき、生涯の学びの課題を発見するのを助ける、そうした機会を揃えることであると思います。
その機会として、出来るならば学生は大学卒業までに、一度でも外の社会を見、学んでくることが大事だというのが私の確信です。日本以外の国、外の世界を知ることによって、よさも悪さも、強さも弱さも含めて、私たち自身と日本自身を知ることができます。そして私たちにとって価値あるものと、他の国や人々にとって価値あるものは違うということ、異なる価値があり、そして異なっていいこと、違いの中から違いを超えて互いに得るものがあり、国境を超えて、新たなよりよき価値の形成ができるということを学んでほしいのです。
モンゴル研修では、1年目でおおまかなモンゴルの状況、ウランバートルの状況を把握しました。そしてことに都市政策関連ゼミとして、途上国の都市住宅問題が喫緊の取り組むべき問題であることを認識したのが2006年度の成果でした。
この問題解決のためにミクロで有効なことが何かを探ってみようと思ったのが2007年の研修活動と調査の焦点でした。援助に関わるさまざまな機関と責任者の方々からの講義を受けました。都市問題と住宅問題の基本を都市居住の原点、:コミュニティーに置くことが非常に重要であることが、開発理論からでなく、踏査を通じて見えてきました。
2008年度には、日本のJICAによる都市マスタープラン研究を知り、その中でことにモンゴル科学技術大学のPurev-Erdene先生のゲル地区改良の提案と活動に出会い、これへの貢献を考えた調査を行いました。この関係を土台に2009年度の調査は、コミュニティーの現状と問題を、子供たち、小中高学生のGISを使った生活圏調査から探ってみることとしました。これは今後のすべての援助及び社会改革のカギとなる、コミュニティー・ビルディングということ、すなわちコミュニティー形成と内発的開発、住民による、住民のための、住民の計画と参加、プロセス、過程をつくりだしていくことが最も大事な行為であるという理念に立ち、私たちが出来る、働きかけの一つとしての調査でした。
2010年3月には限られた関係者のみでしたが、各年夏の中間となる冬季調査を行いました。零下25度Cのウランバートルを訪ね、冬季の都市問題を実感することになりましたが、このときに9月調査のためのカウンターパートを作り、加えて、ゲルを購入しました! この経過を経て行われたのが2010年の研修旅行です。特に今回の調査活動にはコミュニティー開発青少年リーダーシップ・プログラム(Community Building Youth Leadership Program)を、Zorig Foundationの協働のもとに58番高校でクラブ活動としてスタートさせました。この経過は1部この報告書にまとめています。これが今後のゼミ活動の核となるといえます。
この研修にご協力いただいた日本大使館城所大使、エンフチロン大学の今先生、講義、講師の方々、資料提供くださった方々、そして今や研究パートナーとなってくれたZorig Foundationの Badruun Gardiさん、多くの日本語通訳から運転手さんまで、皆様に心から感謝いたします。
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更新日: 2012/03/08 -01:31 PM