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政策評価,政策分析,政策工学

国会と独立機関によるパラレル型・独立の政策評価

Hiroshi Ueno 上野 宏
著者紹介

Policy Evaluations by the Parliament or by an Independent Institution by Ueno, Hiroshi Ph.D.
上野宏 国会と独立機関によるパラレル型・独立の政策評価
政策がよい結果を生み出すためには、”事前・執行中・事後“の3ステージの 継続的・客観的 政策評価が必要である。この政策評価システムの仮説の正当性を 論じる。

1.パラレル型政策評価の仮説

この小論は、国レベルの政策とその評価を対象としている。小論の構成は、パラレル型政策評価プロセスを三つの仮説として提言し、先ずそれらの理論的正当性を吟味する。次に最近の日本政府の動きと黒川委員会の提言の一つが実際にパラレル型政策評価プロセスに合致し、それを支持することを論証する。これらの結果として、パラレル型政策評価プロセスの正当性を主張する。

三つの仮説とは以下である。第1仮説は「政策が良い結果を生み出すためには、政策評価は、表1のように3ステージで形成・執行・終了する政策活動と並行して、パラレルに3ステージの評価活動を行うことが、最も望ましい」というものであり、これをパラレル型ア政策プロセスと呼ぶこととする。望ましいとは、より合理的・論理的であり、現実を説明し安く、かつ現実に良い成果を生み出す可能性が高い、という意味である。これは、上野(2004)が仮説として提言し、次に上野(2012)が改良した、パラレル型政策プロセス(parallel policy process)を、政策評価の面のみに注目して簡略化したものである。即ち、政策評価は、政策の形成・執行・終了という動きに合わせて、以下のような活動を継続的に行うことが望ましい。先ず、たくさん形成された政策案を事前に分析・評価(policy analysis)し、どの政策が良いかを客観的に提言する。次に、国会で政治的に決定され実際に執行されつつある政策について、その長い執行期間の全期間(7~20年)にわたって、毎週・毎月・毎年と日常的に監視・分析・評価(monitoring and evaluation)を行い、必要な場合に改善・修正・縮小、時には終了の提言を行う。最後に、政策が終了した段階か、あるいは一定期間のあとで終了したと仮定し 、その全期間を対象に、その政策が意図した望ましい結果を生み出しているかどうかを分析・評価し、拡大・継続・変更・縮小・終了などの提言を行う。このように、政策の形成・執行・終了とパラレルにその評価を継続することが、政策が望ましい結果を生み出すために有効であるという仮説である。

第2仮説は、「政策評価が有効に働くためには客観性が重要であり、客観性のためには評価活動の独立性と透明性が必要である」というものである。独立性とは、政治家・行政・民間企業・市民団体といったどの他者からも影響を受けない、という意味で定義されている。透明性とは、その活動内容と分析・評価・提言の内容がマスメディア・市民へ公開され、アクセスが容易である、という意味である。

第3仮説は、「独立性と透明性のためには、国会に所属する独立機関あるいは完全に立法・行政・司法から独立した国家機関が、政策評価を行うことが望ましい」というものである。

参考文献

  • 東信男(2002)「NPMにおける会計検査院の役割:その国際的動向」会計検査院『会計検査報告』26号、9月、pp.257-69。
  • 東信男(2004)「NPMにおける会計検査院の役割:大陸系諸国の動向」会計検査院『会計検査報告』29号、4月、pp.169-83。
  • 上野宏(2004)「政策工学試論:政策プロセス、政策評価、および予算策定」日本評価学会『日本評価研究』4(1)、3月、pp.66-86。
  • ______(2012)「総合政策学の枠組みとしての政策プロセス:政治学、政策科学、政策評価論、経済学を統合した政策実現枠組み」南山大学『アカデミア、社会科学編』3号、6月、pp.45-90。
  • 会計検査院(2012a)「会計検査院の地位」、ホームページ>会計検査院について>会計検査院の地位(2012年10月28日閲覧)
  • 会計検査院(2012b)「会計検査院のあゆみ」、ホームページ>会計検査院について>会計検査院の歴史(2012年10月28日閲覧)
  • 黒川和美(2005)「新公共部門経営の時代、新契約国家と会計検査の概念」会計検査院『会計検査研究』3号、9月、pp.5-10。
  • 国会事故調(2012)『国会事故調報告書』日本国国会、7月5日。
  • 成田頼明(2000)「行政の制度・システムの改革と会計検査のあり方」会計検査院『会計検査研究』22号、9月、pp.5-7。
  • 日本評価学会予算審議改革提言検討委員会(2011)「国会の予算審議・予算評価に関する提言書(素案02)」ミメオ。
  • 宮川公男(2000)「会計検査院への期待の高まりに寄せて」会計検査院『会計検査報告』21号、3月、pp.5-8。
  • Pancer,S.M, and A.Westhues(1989), “A Developmental Approach to Program Planning and Evaluation,” Evaluation Review, 13(1), pp.56-77, February.

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国会と独立機関によるパラレル型・独立の政策評価[PDF] 現(一財)国際開発センター研究顧問、元南山大学総合政策学部教授 2014年3月11日 発表上野宏

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更新日: 2014/03/11 -03:30 PM