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復興の過程:ある新議員の議会報告第4回

議員活動報告 気仙沼市議会議員 熊谷雅裕

9月定例議会が9月9日から9月29 日の会期で行われました。
議案は追加を合め70件、専決処分等の報告が15件ありましたが、中心は前年度の決算霞定と補正予算 についてです。一般会計から始まり、水道、ガス、病院の企業会計まで13項目の決算認定と8項目の補正予算について、特別委員会と常任委員会で集中審議されましたが、すべて原案通り可決されました。
今回も一般質問に立ったのですが、16人が退席し質問出来ませんでした。

9月定例議会について

9月9日に開会し、その時渡される書類は膨大で、議案書、決算書、説明書、意見書、報告書、資料 等々あるのですが、トータルすると厚さ10数センチ、重さ5キロ以上、ページ数はざっと数えて1800枚にもなります。そして議会は5日間の休会になるのですが、その聞にその膨大な書類に目を通さなければなりません。ですが9月15日の議案審議までの聞に、すべてを読みこなすのは至難のわざです。必然的に項目を絞って読み、質問することになります。議案の多くは翌9月16日に常任委員会に付託され、それぞれ の委員会で質疑がおこなわれ議決され、最終日に本会議場で報告されます。常任委員会は総務教育、民 生、産業経済、建設の4委員会があり各6名で構成されています。(総務教育は1名欠員で5名)

特別委員会は全議員が一堂に会し質疑します。


27年度の一般会計決算審査に2 目、企業会計決算審査に1目、28年度の補正予算審査に1目、計4 日間 聞かれました。渡された書類は数字の羅列で、たとえば一般会計決算書は290ページに及び、歳入歳出が分野ごとに細かく記載されています。それを264ページの説明書と照らし合わせて読みこなさなければなりません。そこで確認したいことや疑問に感じたことを、職員それぞれが手を挙げ、市当局に質問します。

議員はそれぞれですから、まったく質問しない議員、得意分野に絞って質問する議員、多くの項目に質 問する議員、等々おられます。なんにしても質問するには膨大な書類を読まなければ質問できません。 逆に言えば、質問する気がなければ読む必要がないとも言えます。


 一般質問ですが今回は9月26 日と27 日の2日間行われ、10人の議員が質問に立ちました。 これも議員それぞれで、非常に細かく質問する人や、自分の意見を中心に話す人など、質問内容や質問 の仕方に個性が出ます。当たり前ですが質問するには自分で調べ勉強しなければなりません。 たとえば、 ある議員は地盤の強度を測る難しい数式を出して質問したり、ある議員は学校統合での通学距離を測り、 市が計画する学校統合に異をとなえるなど色々です。


平成26年4月に選挙があり、現在の議員23名が在籍しています。(27年8月から1名欠員〉 定例議会がこの9月議会で10回行われました。この問、代表質問一般質問に立った人がのベ104人です。 本会議で質問に立つ議員は10人前後で、最高が選挙後の26年6月の初議会で14人(私もその一人)、 最低は8人で3回あります。


10回の議会に毎回質問に立った議員が2名、当選後一回も質問に立たない議員は3名。
もちろん、質問するだけが議員活動ではありません。議員活動も議員それぞれです。

大島架橋について

大島架橋は30年度開通を目指し、工事が進んでいますが、開通後のことを考えているのでしようか。私は震災後、東京から帰島し、家業の立て直しに奔走していましたが、聞こえてくるのは巨大防潮堤に関 することと、支援金、義援金、支援物資をめぐる嫌な話だけで、大島のこれからの話はありませんでした。


そんな中で大島架橋が決定したのは明るい話でした。ところが5年経っても捕が架かるだけの話でした。 架橋の目的は大島島民の生活向上と幸せです。素晴らしい自然環境を求めて移住する人が増え、子供 たちの声が響く大島を取り戻す為です。そのために架橋前にしなければならないことは山積しています。 橋が架かると島民の生活は一変します。多くの人が車で来ますが駐車場、トイレがありません。未舗装の市 道、狭陰な県道の交通問題。盗難、密漁、不法投棄の問題。そして学校統合の問題等々沢山あります。
現在、商港岸壁で橋本体の工事が行われており、来年3月に橋の設置が行われる予定です。 ところが島内の受け入れ態勢がまったく整っておりません。開通までに最低限、道路、駐車場、トイレの整 備をしなければならないのに、その計画はありません。このままでは島民の生活が破壊されます。


一昨年、山口県角島に視察に行きました。私個人の報告会で話たり、昨年のチラシにも載せましたが、 橋の開通後、休日は10kmを超える渋滞が起こることがあるそうです。この島は大島の44%の面積しか ないのに、駐車場5ヵ所300台以上、トイレ6ヵ所男女大小46、障碍者用5が整備されていました。
県や市の担当にこの問題を提起し、架橋前に何とか対策を講じてくれと要請して来ました。
しかし、あと1年半後の開通予定なのに遭路、駐車場、トイレの整備計画は明確に示されていません。

大島架橋・唐桑最短道建設促進特別委員会について

気仙沼市と唐桑町が合併して10年になります。このときに出来た特別委員会です。 当初は10名、現在は8名で構成され、委員は主に大島、唐桑、鹿折の議員です。各委員会の構成は改選ごとに変わり、委員長もほとんど変わりますが、この委員会の委員長、副委員長は10年同じです。


大島架橋の委員会が出来て10年、全国各地の島を議員と市の担当者が視察して来ました。

私は新人議員で力はありませんが、合併前から議員を務めている方々が沢山います。市当局も担当者は代わっても継続して仕事をするはずです。しかしこの10年、市や県が行った架橋後の具体的な対策はありません。


それから今回、私だけが大島架橋の視察に行けなくなりました。産業経済と大島架橋の委員会視察日程が重った為で、議長と事務局に調整をお願いしたのですが「委員会の決定に口は挟めない」とのことで した。委員会を招集する権限は委員長にあり、議長に通知して聞かれます。詳細は省きますが、
委員長一任とは言え、私は議員としての視察の義務をはたせない結果となりました。

前回の議員報告について「議員活動報告の記述のなかの『私以外の方々は賛成で可決されました』は誤
植〈間違い〉であると考えます。見解を伺います」と議長から問責を受けました。 私は全議員出席の予算委 員会で反対討論を行いながら、本会議場での反対討論を行いませんでした。本会議場で反対討論をしな いと反対したことにはならないとのご指摘です。全議員の前で反対討論したのでそれでよいと思い、反対し
たと議員報告に書いてしまいました。これは私の不勉強による勘違いでした。訂正してお詫びいたします。

 

議員改革への提言

10月11日、議会改革調査特別委員会が開かれました。
特別委員会では事前に小委員会が開かれ、協議事項が決められ、それを全議員で協議します。
協議事項の最後に「その他」の項目があり、私は「その他」の項目で下記の議会改革の提言を行いました。


現在4つの常任委員会、3つの特別委員会、そして議会運営委員会が毎年視察に出かけています。
これを2年に一回、委員会構成が変わった年に行い、翌年は止めることを提案します。

提案理由として、
視察の目的は先進地事例を勉強し、市の行政に生かすことです。
毎年毎年では、その視察目的を行政に反映しきれていないと思います。
視察に行くことが目的化しているのではないのか、との市民の声もあります。

特に議員4年目の視察は廃止すべきで、行っても任期が残り半年です。
視察の成果を出す前に、4年の任期が終了する思います。
4年目はそれまでの視察で学んだことを市政に生かし成果を出すことに専念すべきです。

行政視察の経費ですが、2年に一回なら4年の任期で約2000万円の経費削減となります。
よって2年に一回の視察に変えることを提案します。

以上、議会改革の提言をしましたが、この提案を支持する議員はおらず、却下されました。
事前協議の項目になく、根回しもない突然の発言に多くの議員が反対の声をあげました。協議事項の多
くは会派の意見を聞き議題とするらしく、私は無会派なので、直接この委員会の場で議会改革の意見を述 べるしかないのです。それを封じ込める議会改革特別委員会とはなんなのか、理解できません。

行政視察について


視察は2つに分かれます。閉会中の所管事務調査として議会から委員会に付託される「公務の行政視察」と、各会派及び無会派の議員に支給される政務調査費を使って行う「会派の視察」です。

「公務の行政視察」は日程、視察先、視察目的などが各委員会で決定し実施されます。委員会では「行政視察に行く」という決定のあとは「委員長一任」となります。各委員から希望を聞くことや、副委員長に相談することはあっても、たとえ反対意見があっても「委員長一任」ですから委員長の権限で決定します。
行政視察は6名の4常任委員会と8名の3特別委員会、そして議会運営委員会とが委員会ごとに日程等 を決め毎年行われます。ですから年2回視察に行く議員と、3回視察に行く議員がいます。
行政視察は「所管事務調査」と呼ばれ公務です。議員として参加する議務も権利もあります。
事務局職員がスケジュール、チケット等を手配し同行、また委員会関係部署の市の職員も同行します。 市の担当職員(部長か課長)との同行は、問題意識の共有のためと思います。


「会派の視察」ですが、政務調査費を使って行きます。第2の給与と言われ、いま全国で問題となっている政務調査費ですが、気仙沼市は月1万円、年12万円支給されます。(私は全額返上しております)多くの議員がこの中から視察研修費の名目で全国各地に出かけます。これも議員活動の一環で、行く、行かないは議員次第で、行先も目的も自由です。ちなみに、前議員30名のほとんどが改選前の25年度末、 沖縄に視察研修に行きました。そして翌年も連続で沖縄に視察研修に行った会派と議員もいます。
つまり公務の行政視察と会派の視察、合わせて年4回視察に行く議員もいます。

気仙沼市議会における委員会と会派について

市議会の委員会と会派について聞かれたことがあり、私なりに答えたいと思います。
平成26年4月に選挙があり、24名の議員が選出され、最初に行われたのが会派届けです。議員定数が30名から,24名に減り、内4名が新人だったので会派の構成が大きく変わりました。会派は3名以上で構成されますから、当初は6名、4名、4名、3名の4会派と会派に属さない7名とに分かれました。


そして議長選出となります。その時に立候補したのは6名の最大会派未来から一人だけでしたので、そ のまま議長に選ばれました。選ばれた議長は無所属となります。なおその議長は昨年8月に辞職したので、昨年9月にニュービジョン21から一人だけの立候補で新議長が決定し現在に至っています。
委員会構成については、議員がどの委員会に所属したいのか希望をとり、会派幹事長の事前話し合いが持たれ、各委員会構成が決まり、委員長、副委員長が互選で選出されます。委員会は12あり、他に議 会ではないのですが、監査委員会、気仙沼・本吉地域広域行政事務組合等にも選出されます。


委員会は任期2年、各6名で構成される4つの常任委員会(総務教育、民生、産業経済、建設弘 任期4年、各8名で構成される3つの特別委員会〈大島架橋・唐桑最短道建設促進、三陸沿岸道路建設促進、市立病院建設事業調査)、そして全員参加の議会改革調査、行財政改革調査、東日本大震災聞 査の特別委員会があります。つまりどの議員も5つの委員会に所属することになります。


他に議会広報特別委員会、4つの常任委員会と議会運営委員会から1名ずつ選ばれ、5名で構成されます。そして議会運営委員会の8名、この委員会は4つの会派と無会派の中から委員が選ばれます。
議会運営委員会は文字通り議会運営を司りますから、多くの権限が与えられています。各会派、議員の思惑が交錯するなか、議会開会前や議会開会中に伺度も委員会を行い、議会運営を調整します。
この2つの委員会にも所属すると6つあるいは7つの委員会を兼務することになります。
私は産業経済、大島架橋、議会改革、行財政改革、東日本大震災、広報の6委員会に所属します。


委員長の人選は各委員会において互選で選ばれますが、各会派からバランス良く選ばれています。
総務教育は無会派、民生は市民クラブ、産業経済は新風の会、建設は未来、大島架橋はニュービジョン2
1、三陸沿岸道は新風の会、市立病院はニュービジョン21等々、副委員長もしかりです。とは言っても新人 議員の委員長はおらず、委員長に選出されるのは議員歴の長い方が選ばれ、会派の力が左右します。

会派は3名以上で構成されるので、4つの常任委員会がありますから、4名以上いると各委員会にそれぞ れ配置できます。すると他の委員会の情報を共有でき、なにかと有利になります。
政党に所属する議員は 社民2名、公明1名、共産1名で、3名に満たず会派にはなれません。他に議長も含め、そして私も含めて無所属4名の計8人が無会派となります。無会派からも議会運営委員会に2名選出されています。


委員会で委員長を決める時、私は新人議員でしたので先輩議員の進め方を見ているだけでした。
各会派の幹事長が事前に集まり、幹事長会を開き、ほぼ決まってから委員会が開かれるのでしょう。
幹事長連絡会議も議会開催中だけではなく、何かあると開かれます。

国会を始め、すべての議会は議会運営委員会と幹事長連絡会議の話し合いで進みます。
委員会と会派の構成は当選時と違っています。詳しくは議会のホームページをご覧ください。

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更新日: 2016/10/28 -04:50 PM