財政の立て直しには「各論」で激しい反対が出る。どの国でもそうだが、日本では予算をつくる際の分析不足が特に問題だ。こうした状況を踏まえ、米国のシンクタンクが日本の国会にも「予算局」を置いてはという提案をしている
財政の立て直しには「各論」で激しい反対が出る。どの国でもそうだが、日本では予算をつくる際の分析不足が特に問題だ。こうした状況を踏まえ、米国のシンクタンクが日本の国会にも「予算局」を置いてはという提案をしている。
米国では議会予算局に二三二人の職員がいて、予算委員会はじめ様々な委員会を支えている。
予算局は、大統領の予算案から今後一〇年間に予測される歳入と歳出の額を独自に推計して委員会に出す。政策の提案はしないが、税や支出に関するいくつかの案について、それらの長所・短所を報告する。これらの仕事のために、連邦省庁がつくったすべてのデータとその根拠を求めることができる。
局長は上下両院の予算委員会からの推せんに基づき、両院の議長が任命する。任期は四年。議会は局長を辞めさせることはできるが、現実には難しく、政党からの独立性は保たれている。
日本への提案は、幅広い視点から分析ができる、独立した機関を置くこと。民間委託や各省庁の政策評価を生かすことで職員数は三二名に抑える。日本の経済や社会の問題を明らかにし、予算で何を優先すべきか、政治家や国民の議論を導くのがねらいだ。
具体的な仕事は、予算の中身や、その前提となる経済や財政に関する予測などの分析。予算に関する情報を国会だけでなく、国民向けにわかりやすく伝える役割も担う。
現在、日本では経済財政諮問会議を通じて、予算について少しは分析的な目で議論されるようになった。だが、依然として財務省が予算をまとめる際には、数字合わせのための調整に多くの力をついやしている。もっと腰を据えて理論的に予算を考えるしくみが必要だ。
編集者: .(このメールアドレスを表示するにはJavascriptを有効にしてください)
更新日: 2011/01/30 -04:02 PM